わたしが小学3年生の頃に初めてのお小遣いで買ったのは、各150円くらいのクリサンセマム・ノースポールとスイートアリッサムの苗でした。
育て方がよくわからずに最初は室内に置いてしまい、アブラムシに悩まされもしたのですが
それでも自分なりに花がら摘みをし、植え替えたりしているうちに少しずつ育ち、翌5月くらいまで花を咲かせ続けてくれました。

たった数百円でこんなに楽しい思いができるのかとびっくりして
小学生の間はお小遣いのかなりの割合を草花、ハーブ、観葉植物の苗に使ってのめり込んでいきました。

家を出て近所を歩くだけでも、さまざまな花や緑に出会えると思います。
わたしはその中でも、根っこが育ちすぎて鉢を破壊しているアロエや
家の人が刈っても刈っても茂ってくるランタナ
頭上から降り注ぐように無数の花をつける軒先のエンジェルストランペットなんかを見るのが大好きで
人の想像をはるかに超える生命力で伸び進む植物たちのパワフルさと
それでいて持ち場を決して離れることのない健気さのようなものに心打たれます。

わたしたちは花屋ですが、ただ切り花やブーケを提供するだけではありません。

その一本一本に命があり、農家さんによって長い時間をかけて丹精に育て上げられた後
いちばん美しい瞬間に人の手に届けられるということを
受け取った方にも感じ取っていただけるように
植物本来の伸びやかさや姿かたち、鮮やかなカラーを活かしたデザインにこだわっています。

また、店舗では切り花に負けない勢いで観葉植物、サボテン、多肉植物等の苗を充実させています。
窓辺やデスクに最初の1鉢を置いてみたい方も
専用のシャルフを用意して部屋を植物まみれにしたいという方も
鉢とのコーディネートにもこだわってインテリアとして楽しみたい方も
ぜひ一度足を運んでみてください。多様な楽しみ方をわたしたちは応援します。

時には思い通りにいかない難しさや、
小さく買ってきて大きく育った時の達成感、
名前や種類に詳しくなって思わず誰かに語りたくなるような奥深さ、
水が切れないように気をつけなければならない面倒くささ
そのすべてが花や緑の魅力だと思います。
そんな植物を愛する「Green Mania」の皆さまにご満足いただけるよう、今後も歩みを進めてまいります。

宮沢賢治著の短編小説「ひのきとひなげし」の中で、
誰よりも美しくありたい、スターになりたいという願望に執着するあまりにその若い命を投げ出そうとしたひなげしに対して
ひのきが『あめなる花をほしと云い、この世の星を花という。』と言って励ますシーンがあります。

あめ(天)なる花、つまり天高い空にある花は「星」であり
またこの地上にある星こそが「花」であるという意味なのですが
その透き通るような表現に強い感銘を受けました。
宮沢賢治の言うように、大地に根を張る花や緑は、遠い夜空で輝くお星さまのように美しく貴重な存在だと思います。

また、ひのきはひなげしとの会話の中で
「な、ところがありがたいもんでスターになりたいなりたいと云っているおまえたちがそのままそっくりスターでな、
おまけにオールスターキャストだということになってある。」とも言っています。
誰よりも美しくなろうだなんてしなくても、今いる場所で自分らしく輝いているだけであなたはもうスターなんだ、という
現代においても共感を呼ぶあたたかいメッセージが込められています。

わたしたちにとって花や緑が、大地のもつ天にも負けない美しさやパワーを感じ取れる存在であり
それと同時に、わたしたち一人ひとりのありのままの思いや輝きを表現してくれる存在であることを
多くの方と分かち合い、花や緑と人の心地よい関係がずっと続き広がっていく社会を目指して
株式会社Stars on Earthを設立いたしました。

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